歯ブラシと日本工業規格

日本工業規格と言えば、あらゆるジャンルのメーカーが遵守している規格だとのイメージがありますが、歯ブラシもこの規格に則って製造されています。歯ブラシは毎日使われる生活必需品の一つですから、実物を見たり触ったりしてから購入を決断したくなるのが自然です。

しかし衛生上それが叶いませんから、消費者はパッケージに記載された説明を見て購入を検討することになります。因みにその説明は、日本工業規格、家庭用品品質表示法、国際標準化機構の定める規格等に則っていることを裏付ける内容になっています。規格さえ守れば、商品となる歯ブラシの設計は使用者の目的、年齢等を考慮してなされています。市販されている歯ブラシの形状、大きさ、色、材質が多様なのはそのためです。毛の材質は選択するまでもなくナイロンであることが多いのですが、天然毛の歯ブラシも存在します。

実は元々歯ブラシは天然毛が使われていました。それがナイロンに置き換わったのは、天然毛の加工の大変さと品質が不安定であることが忌避されるようになったからです。さて、実際に歯ブラシのパッケージに書かれている文言を読むと、材質、毛の硬さ、耐熱温度等が見て取れます。これらは家庭用品品質表示法の定めによるため、どのメーカーのパッケージにも記載されています。海外製の歯ブラシには国際標準化機構の規格に関する説明が載せられていますが、日本ではまだ少数にとどまっています。ところで日本工業規格は、歯ブラシとどのような関係を築いてきたのでしょうか。

日本工業規格は工業標準化法に則った規格であり、この規格を守っている商品にはJISマークが付与されます。歯ブラシもまたJISの枠内で生産されることが昭和36年に決まり、以降は何度も改正を重ねながら歯ブラシの材質と形状を制約し続けてきました。改正のタイミングは流通する歯ブラシの多様化と軌を一にしており、少しずつ制約が緩和される傾向にあります。また、JISだけでなく、国際単位も重視されつつあります。

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